秘密戦隊とホームレス宇宙人
大広間に戻った桃子さんは涼平に当たった。


「ちょっと!涼平の部屋汚すぎるよ!あれじゃクロちゃんが住めないじゃん!」


「あ、やっぱり俺と一緒の部屋なんですか?」

涼平は聞いていなかったのだろうか。


「そうよ!マジ汚いから早く掃除して!」

桃子さんは、ゴキブリに遭遇したからなのか、少し不機嫌そうだった。


「…桃子さんの部屋のほうがいいんじゃないっすか?」

涼平のその言葉に、俺と桃子さんは激しく反応する。


「…何言ってんの?」


「俺の部屋は汚いし、桃子さんの部屋は綺麗で広いし…」

いいぞ!涼平!もっと言え!
俺はそれに賛成だ!


「なんであたしが男と一緒の部屋なのよ!?あり得ないし」


「そうですよね…。片付けてきまーす」

涼平が引き下がるのは早かった。
俺としてはもう少し戦って欲しかったが、彼はゴミを片付けに行ってしまった。

「涼平は、ここに住んで長いんですか?」

俺の問いに、桃子さんが答える。


「…一ヶ月くらいかな」

「え?一ヶ月?」

「うん」

一ヶ月で部屋があんなに荒れるなんて…。

「すごいよね…」

「すごいっすね。桃子さんは?」


「あたしは荒れてないわよ!」


「いや…来てどのくらい……」

俺の声が小さかったのか、ハカセが割って入る。


「荒れてるじゃろ?毎晩酒瓶持って暴れて」


え?そうなの?


「ちょっと!そんな事ないでしょ?」


「桃子君がここに越して来て三ヶ月、酔ってない日を見てないぞ」


「……それは仕事柄…」

桃子さんの声が小さくなった。

「休みの日も飲んでるじゃないか」


俺はハカセを信用する。


「好きなお酒は?」

桃子さんに訊いてみた。


「ビールと芋」

確実に彼女は酒好きだ。
麦酒と芋焼酎は普通の若い娘では出てこない。

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