秘密戦隊とホームレス宇宙人
このギャップも…少し惹かれる。

「ハカセは、地球に来てどれくらいなんですか?」

宇宙人だと信じ切った訳じゃないが、訊いてみた。


「わしは、半年ちょっとかな。最初はホームレスをしていた」


「え?」

ホームレス宇宙人…?


「空中戦の末、ベルトを奪われたが、奴らはわしの命には興味がなかったようだ。山に不時着した宇宙船の中で始めは暮らしていた。しかし、食べるものに困った。山を下りても、お金がないから何も買えないんだ。
その辺に生えてるキノコを食べたが、気分が悪くなって、食えないものだと知った」


毒キノコを食べたんだ…と、俺は思った。


「フラフラだった私は、一人の中国人に飯を食わせてもらい、助けてもらった。
そいつは、鉄屑や壊れた機械などを外国に流している男だった。私は壊れた宇宙船をスクラップにして、お金に変える事に決めた。もう故郷に戻ることは出来ないのを覚悟して。故郷に残してきた女房と娘の事を考えると、今でも胸が痛む」


「……」
聞いている俺も、なんだか胸が締め付けられるようだった。


「そしてようやく、宇宙船のエンジンをその中国人に売ったところで、ある程度の金が出来た。そしてこの家をやっと借りる事が出来たんだ。
彼にはすごく、感謝しているよ」

この家…借家だったんだ。
ホームレス宇宙人も、波乱万丈な人生を送ってここまで来たんだな…。


「つまり、これからは家賃を4で割って、クロザイルも毎月3万円を納めるように」

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