白薔薇と黒薔薇


「本が続いてる…………!」


「その本も途中までしか書かれていなかったの。

だけど、王宮から帰ってきて、
本を、開いたら、続きが書かれていたのよ。

どうやらその本には魔法がかかっていたみたいね。」



「そのものが真実を知ったとき、見えなかったものが見えるようになる魔法だ。

俺の場合、最初ほとんど見えなかった。
王の護衛をした時に、王に話を聞いてから、その本が見えるようになったんだ。

誰がかけた魔法かはわからないが、大昔の本だ。
とても強力な魔法がかけられているように思える。」




隣に立つ黒夜も腕を組みその本を見つめた。

真っ黒な髪に奥に赤い色を隠した黒い瞳。
本を見つめるその姿に、また胸がぐっとなるのを感じる。
ちらりと彼と目が合った。





先ほどからのこの気持ち




やはり






思い過ごしではないのなら









一目惚れ










「白音?どうかしたの?」


薄手のドレスがひらりと揺れて、黒夢が白音の肩を優しくたたいた。



「なん、なんでもないわ。少し考え込んでいただけよ。」

さっ、と本を閉じて、本棚にしまった。
















「それで今日はこの前の話で来たのよね?」
< 103 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop