白薔薇と黒薔薇
笑って欲しいなんて、変だろうか?

下を向いている彼女に、笑顔を見せて欲しいと願ってしまう。


太陽のような優しい笑顔。


俺の穢れた身体も心も癒してくれるような。
使命の事を忘れさせてくれるような、そんな笑顔。



白薔薇と聴けば、俺にとってはずるい存在。
生まれてから使命を受けて、幼い頃から人殺しだった。
真っ黒な宮廷が当たり前で、何の罪もないとわかっている相手を殺す。
正直好きじゃなかった。
俺たちをこき使いお気楽に平和ボケな奴らだと思っていたから………

でも彼女を見て違うと思った。

必死に今の世界を救おうとしているのだ。
眩しい太陽のよう
俺の使命もいつかなくなるだろうか?

皆が幸せになれるだろうか?
こんな醜い事をしなくたっていいようになるだろうか?

馬鹿らしいが考える。

いつから?



彼女を見たときから……




明るい未来を信じているのだ。










「私は思うの、世界の多くの人たちが今すごく苦しんでいる。

魔法は人を苦しめているわ、

それでもなくてはならないものだもの。


だからこそ私神帝が、皆を導いて行きたいの。魔法なんかで差別しない明るい世界を………」


決意した瞳、
白音の言葉に2人はコクリと頷いた。


世界を救うと、本気で願った。



☆もう手遅れでも……信じて諦めないと誓えますか?☆


ふと、黒夜と、白音の耳に声が聞こえた。けれど小さな声。

気のせいかと思い、気にしないでいた。















「た、大変です、姫!!!!皇子!!」
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