白薔薇と黒薔薇





しばらくすると、街が見えて来た。
宮廷から眺めていたのと、同じ街。


「汚ねぇなぁ、 しっしっ、」



いつもはしっかり街を見ていなかったからわからなかった。

宮廷の下町は賑やかで、明るい
けれど、よく見ればそこには闇がある。


建物の隙間には、ボロボロの、今の白音のような格好の人々が溜まっている。

それをまるで、汚いものでも見るような目で見て払いのける、おそらく魔力が強いもの。


壁にはポスター

【神帝を滅ぼせ!今、我らの幸せのため! 革命R】



今ならわかる。何故こんなことになってしまったのか、

この街って、他の街よりも栄えていると聞く、


それは貴族の人数が多いからだろう

それでもひどい状態

地べたに寝そべる人々は、その明るい光に当たることが出来ない。

魔法が、魔力が少なく生まれたものにとっては、ただの差別。

努力や、自分では変えられはしないものだから。

魔法の力は抗えないものであり差別を無理やり生み出す源だった。

魔法で怪我を治し、魔法で政治を行う。
魔法で天気を操り、魔法で作物を育てる。
そう、全てが魔法。


ならば魔力の少ない貧しい者たちが、魔法など消えて無くなってしまえと願うのは当たり前のことだ。

私だって思ったことがあった。
皆とは違うけど、縛られている気がしたからだ。
でも、魔法を無くせば世界がバランスを崩して壊れてしまうだろうから




「お腹すいたよ、お兄ちゃん……」


ふと、隣から声がした。
見ると、そこには痩せ細った幼い兄弟の姿。


「もうすぐの辛抱だよ、もう少ししたら悪い奴らを父さん達が倒してくれる、

そうしたら、みんな幸せになれるんだ。」


女の子を優しくなでる少年の瞳は嬉しそうだった。




悪い奴


神帝はそんな風に見えていたのだろうか?


人々の幸せを願うのが私達だったはずなのに、いつの間にか人々にとって闇を作り出す元になっていたとは、


おそらく兄弟の父は革命Rの人だろう、
黒薔薇と、白薔薇を襲った彼ら。

ただ幸せを願っただけなのに、
彼らは、闇に染まってしまった。

私を、白薔薇を、神帝を、恨み、彼らの姿を変えてしまったのだ。
彼らは暴走していた。

言葉は届かない獣

果たしてこの兄弟のもとに戻ってくるのだろうか?
彼らが信じる父がーー。


「そのためにも、私は生き延びなければ………」


兄弟のいた場所を後にして歩き出す。



貴方に会えば分かる気がするの。



私が生き延びる意味がーーー。




世界を救う、邪悪な闇を打ち消す方法をーーーーー。
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