白薔薇と黒薔薇






パタんっ!


古い分厚い本を閉じる、
だいぶホコリをかぶっていたためゴホゴホと咳をする。




「ねぇ?カシベル、この本は途中で途切れてしまっているわ……途中から白紙なのよ、作者も書かれていないし……この本は誰が書いたのかしら?」



椅子から立ち上がり、後ろに立っている少年に声をかけた。

黒いスーツに身を包み、白銀に輝く美しい髪、そして真っ黒な瞳。
カシベルと呼ばれた少年はすっと、隣に立ち、


「それは姫。私たちも知りません。


ただ、その本は魔法を生み出したと言われる、初代の王が持ってきた本だとは聞いたことがあります。」



姫と呼ばれた少女は分厚い本を棚に戻して、ベランダの方へ歩いて行く。

ベランダからさす陽の光が少女の美しい長い黄金と銀を足したような不思議な色の髪を照らす。
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