白薔薇と黒薔薇



大きな広間、そこに何人かの杖を持っているものと、剣を持つものが、交互に並ぶ。


彼らは円になり真ん中あたりに何やら魔法を唱え始めた。



「マハブリード王の城はここからとても遠いですからね、

白音の転送魔法だけではいけないでしょう。

さぁ、白音行ってらっしゃい。
くれぐれも粗相のないようにね。」



白音の手をぎゅっと握り、優しい笑みを浮かべる。
けれどもその瞳は不安で揺れていた。


「お母様、心配しないで。

みんなもいるし………
何よりも私は楽しみなの!

行ってきます!」


嬉しそうな顔をして、白百合の手を握り返した。
< 53 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop