白薔薇と黒薔薇
この世界の初代の王は、
それぞれ白薔薇、黒薔薇と名付けて神帝という地位を与え、この国の管理を任せた。


それぞれには初代の王からの使命がある。


白薔薇は、この世界にとって光のようなもの。
だから、常に光り輝く宮廷に住み、陽のあたる生活をし続けてきた。

白薔薇の力が強い地域はとても明るい。
白薔薇の宮廷と黒薔薇の宮廷の間に王の宮廷は、
寒さもあって、暖かさもある。


白薔薇の使命は人々を明るく照らし政治を行うこと。


そして………


黒薔薇の使命は、反乱をおこした者を殺す事。」


風が強く吹き窓の側に立つ黒夢のまとめてお団子にした髪をゆらす。



「殺す……殺すって……どういうこと………黒薔薇も白薔薇と同じではないの……」


白音の声は小さく震えている。
手はカタカタと震えていて、瞳は怯えきっている。


「白薔薇は常に明るいところにいたでしょう?

黒薔薇の宮廷はとても寒くて、真っ黒なの、つねにね。

黒薔薇は代々見にくい仕事をしてきたのよ。

白薔薇の決めた決まりに、不満を持ち反乱を犯した者達を殺して黙らす。

王の暗殺を企てた者も容赦無く……


常にこの世界は光りに満ちていると思っていたでしょう?

大間違いよ、そう見せかけていただけに過ぎないわ、

父様は私が生まれる前に戦場で亡くなったわ。

父様は反乱をおこした者達を殺し続けた人殺し。
私より、2つ年上に兄も……ほとんど宮廷に戻ってきたりはしない。

最近よく聞くでしょう?
反乱や貧困、貧富の差が激しくなって奴隷扱いがひどいなど……

兄様は、ずっとそれで人を殺し続けているの。手はきっと血で穢れてしまっている。


そして、そのどの地域にもあまり白の力が届かないのよ。

白の力はただの表向きだものね。」
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