竹林パラドックス
白衣を脱ぎ捨て、職員の通用口から出ると、まだ午前0時を過ぎたばかりのはずの空が明るくなっていました。



アノ人と約束をしたあの日から、どうもわたしの回りは奇妙なことが続いているのです。


兎に角、新幹線に乗らなければ。


わたしは関ヶ原へ向かうべく東京駅へとタクシーを走らせました。
タクシーは首都高をぶっ飛ばし、少し眠れるかも・・・と考えているうちに東京駅に着いてしまいました。


東京駅の構内は生ぬるい風が吹いていました。


無表情な新幹線が音もなくするすると目の前に止まり、もったいぶってドアが開きました。


新幹線に乗れば少し眠れる。
わたしはすぐに自由席に乗り込み、空いている席を確保しようと考えました。

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