ふたりのガーディアン
「優月。このままだと俺の決心が鈍りそうだから。頼むよ」


私の頭上に響く瀬名君のせつない声。


その声が苦しくて、私は瀬名君のシャツにしがみつく指にぐっと力を込めた。


「瀬名君、私…。瀬名君を薫さんの元へ行かせたくない!」


勇気をふり絞って声に出した。


心臓がドクンドクンと大きな音を立てる。


だけど、言わずにはいられなかった。


「優月…。嬉しいよ。優月にそう言ってもらえて。

でも俺は最低だから、もう優月にはふさわしくないんだ」


瀬名君、いやだ…。


そんなふうに言わないで。


「本当に好きだった。優月」


そう言うと瀬名君は、私を強く引き寄せ、唇を塞いだ。


激しく、奪うような強引なキス。


悲しくて、せつないキス。


私はなされるがままになっていた。


自分が今どこにいるのかわからない。


何も見えないし、何も聞こえない。


ただ、瀬名君だけを感じていた。


だけど、急に現実に引き戻される。


瀬名君は私を引き離すと、顔をそむけ、そのまま走って行ってしまった。


瀬名君の後ろ姿が、どんどん小さくなっていく。


そして。


暗闇の中に消えてしまった。

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