ふたりのガーディアン
「まぁとりあえず、二人とも座ってよ」


蒼甫君には私の席に座ってもらい、私は予備の椅子を持って来て、蒼甫君の隣に座った。


「話って?」


「守屋から話すわ。お願いね」


「はい」


何なんだろう?一体。


「えーと、前回神崎君には戦隊ヒーローのオーディションを受けていただきました。

途中までは大変好印象だったと思うんですが、演技でかなりのマイナスになってしまったようで、残念ながら採用されませんでした」


守屋さんの話し方って、なんだかアナウンサーみたい。


それにしても、やっぱり蒼甫君の棒読み作戦が成功したんだね。


「実はですね、審査員の中に神崎君を大変気に入ってくださった方がおられまして」


え…?


「ある企業のPRに、ぜひ神崎君を使いたいそうなんです」


「はっ?俺?」


蒼甫君が目をパチクリさせる。


「蒼甫。すごくいい話よ。引き受けるわよね?」


引き受けるわよねって…。


そもそも蒼甫君は興味もないし、そんなことやりたくもないのに。
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