ふたりのガーディアン
私達は公園に落ちていたボールでキャッチボールをして遊んだり、色んな話をしてゆっくり過ごした。


こんなふうに蒼甫君と過ごせることが、本当に嬉しくて心地良くて。


幸せ過ぎて怖かった。


ここに咲いている満開の桜も、あと数日もすれば散って。


来月の今頃には跡形もなく消えてしまう。


桜は確かに綺麗だけど、そんな儚い桜のようにはなりたくないと思った。


でも、この景色には目を奪われる。


それは、儚いからこそなんだろうか?


私達は再び、桜の木の下のベンチに腰掛けた。


「優月」


「ん?」


「そのネックレスの石と桜の色。同じ色だな」


「えっ?」


「優月に、桜の花びらがついてるのかと思うくらい」


桜と同じ色の石…か。


「綺麗だよ」


蒼甫君が、まぶしそうに目を細める。


「優月の色だ」


そう言って、蒼甫君が私の頬を撫で始めた。


これは、あのサインだ。


私はそっと覚悟を決める。


そして、ゆっくり目を閉じた。


心地良い風に舞う桜の花びらが、私達の頬を優しく撫でていく。


蒼甫君は私の手に自分の手をそっと重ねると、甘くとろけるようなキスをくれた。


蒼甫君から、春の陽射しのようなあたたかくて優しい香りがする。


大好き…。


ずっと、ずっとそばにいてね。
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