ふたりのガーディアン
「へぇ。国文科をねぇ」


お昼休憩、私と瀬名君は食堂に来ていた。


「うん。先生からすると、一応保険って感じみたい」


「でもいいんじゃないかな?

2年短大に行ってさ、その後写真の専門学校に行っても遅くないと思うよ?

人生長いんだし、焦ることないよ」


そうなのかな…。


なんだか他人事みたいに感じてしまう。


「優月、今日バイト?」


「うん」


「いつまで洋平のところで、バイトするんだ?」


「うーん。今は新年会シーズンで、まだちょっと忙しいみたいなんだ。

洋平君のお母さんもまだ本調子じゃないみたいだし、もう少し手伝おうかなって思ってる」


「そうか…」


口をつぐむ瀬名君。


「どうしたの?」


「ん…。まぁ、ちょっとな。

居酒屋でバイトって、ちょっと心配だから」


「えっ、どうして?」


「だって、酔っ払いとかに絡まれたりすると困るだろ?」


「うーん。前はちょっと怖かったんだけどね。

なんだか最近、あしらい方が上手くなっちゃって。

なんか平気になってきちゃったんだ」


慣れたのもあるけど、変なお客さんがいると洋平君がものすごい怖い顔で一喝するから、心強いっていうのが一番大きいんだけど。


「…なぁ、優月」


「ん?」


「あんまりたくましくなり過ぎるなよ?」


「えっ?どういう意味かな」


「守ってやらなくても大丈夫になるなよ?」


「なにそれー」


「だって最近の優月、なんか別人みたいに強くなった気がして」


「そうかな…?」


「ちょっと、ね」


うー。


確かに蒼甫君と別れてから私、ちょっと強くなっちゃったかも…。

< 833 / 932 >

この作品をシェア

pagetop