ふたりのガーディアン
「蒼甫さん、お疲れ様ですー」


「おう。お疲れ」


「今日は事務所なんですね」


「うん。ちょっと打ち合わせ。

ミキトは?」


「俺も打ち合わせっす」


コイツは俺の後輩で白川ミキト。


今ウチの事務所の期待の新人だ。


イチャさんの事務所は、今では所属するモデル、俳優、タレントの数が増え、ビルも移転した。


「あれ?蒼甫さん。その写真集、どうしたんですか?」


「あーこれな。友達が持って来てくれたんだ」


「俺、この写真集見たことありますよ」


「え?ミキト、知ってんの?」


「この人、バックパッカーで世界中を旅してるんですよね?

この人の写真、結構人気あるんですよ」


「へぇ…」


「ビニールついたままですね。

見ないんですか?」


「あ、う…ん」


俺の目の前に置かれた、この一冊の写真集。


俺は、なかなかそれを開けずにいた。
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