純情りぐれっと
第一章 出会い
「残念!うちはもう、好きな人いるのだぁっ!!」



それは、友人の一言から始まっていたのかもしれない。





桜城詩羽(さくらぎ うたう)

腰上まで伸びた人より明るい茶髪。
ちょっとしたコンプレックスの色白な肌。
得意なことといえば、料理と手芸
運動なんかテンでだめ。
取り柄といえば、素直さと正直なところ。




私の初めては本当に突然やってきた。




中学1年の春。




小学校は別だったけど、同じクラスで
仲良くなった子と好きな人の話・・・
恋バナをしているときだった。





彼女の名前は、澤野ユイ


小柄な体格、ショートカットが
よく似合う吹奏楽部の女の子だった。



ユイの好きな人とやらは、
小学校5年生の時にユイから告白して
中学校2年になったら付き合うという約束をしていたそうだ。
付き合いはしていなかったけど、お互いを信じて
交換ノートを続けていたらしい。



「えー!どんな人??気になっちゃうなぁー(笑)」


恋愛に興味がないわけじゃない。

むしろ、そこまで夢中になれるものに
出会ってみたいという好奇心さえ抱いていた。


正直恋なんてしたこと無かった私に


まさか、こんな形で神サマが


面倒なプレゼントをくれるなんて思ってもみなかった。


「隣のクラスだし、顔出しに行く??」


窓辺に座って話していた私とユイ。


ユイは短く切りそろえられた髪を
耳にかけながらそう言った。


「んー、見てみたいかも♪自慢の好きな人さん(笑)


私も少し興味がわいて


ユイのあとをついていってしまった。


まさか。



最悪の状態で始まる恋愛もあるなんて。


漫画でしかないって思ってたのに。


それは、切ないくらいはっきりと


私の心臓に、大きく鼓動していた。

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