和田菜月物語
次の日
文化祭前日になった。

「じゃあ、今日はリハーサルをするぞ~」

「未来は、誰と回るんだ?」
「飯沼君…」
「よ、よかったじゃん!」
「飛鳥ちゃんは?」
「ウチ!?」
「うん」
「ウチは相川」
「えっ!?」

そう言って反応したのは私。

「飛鳥、がんばって」
「何を?」
「と、とにかく頑張って!」
「わかったよ…」

「じゃあ、チラシ係はチラシを書いて」

私、雅木、高島(相川)、飛鳥はチラシ係だ。

「お前本当にお化けじゃないんだな」

そう言って雅木は笑っていた。

「だから、暗いの無理なの!」
「怖がり~!」
「うるさい!」
「チラシ係の菜月さんは怖がり~」
「ひどい~!」

私と雅木は笑いあった。
それを亮磨は優しい目で見ていた。
未来の目は殺気に満ちているようだった。

「静かにー!」
「だって、希ちゃん」
「杉本先生!」
「は~い」


それから、6時間目を使って文化祭のリハーサルは終わった。

帰りは久々に3人で帰った。

「疲れたなぁ~」
「いつもの事じゃん」
「そう言う菜月も疲れてるじゃん!」
「飛鳥のほうがでしょ!」
「二人ともでしょ!」
「はい…」

「そう言えばリハーサルの時、菜月暗いの無理って言ってたけど」
「うん」
「本当なの?」
「そうだけど。何で?」
「いや、聞いたことないなぁと思って」
「そう言えばウチも聴いたことない」

今思うと初めて人に話した気がする…。
何で雅木に言ったのだろう?

考えていると未来の目は今にも泣きそうだった。

この時は何が起こるなんてわかりもしなかった。
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