和田菜月物語

文化祭

当日

学校には3人で行くことになった。

「おはよう?」
「やっぱその反応になるよな」
「未来どうしたの?」
「私、お化けだから…」

恥ずかしそうな未来の服は魔女風なドラキュラ。

「似合ってるけど、それで回るの?」
「上から羽織るものは持ってきたよ」
「なるほど!」
「じゃあ、行くか」

学校に着くとみんな着替えていた。

「おはよう、菜月」
「おはよう、亮磨、雅木」
「俺はついでかよ…」
「何が?」
「何もねぇよ」
「それより雅木、大山待ってるぞ」
「ほんとだ、じゃあ行ってくる」
「チラシは後で渡す~」
「おーう」

「じゃあ俺らも行くか」
「うん」

やっぱり亮磨といると変な気持になった。

前と同じで雅木とは違う気持になった。

色々回っていても何も頭に入ってこなくなった。

亮磨は私の顔を覗き込んできた

「どうしたんだ?」
「何にもないよ…」

苦笑いの私に亮磨は

「俺でよかったら話し聞くぞ?」
「亮磨…」

私と亮磨静かな所で座った。

「亮磨は変な気持になった事ある?」
「変な気持ち?」
「うん…」
「変な気持ちか…。具体的に」
「なんか、その人と一緒に居たら何も頭に入ってこなくて」

私は夢中に話していた。
きっと3分ぐらい話していた。

「まとめたら、その人と一緒に居たいと思うの」
「なるほど…」
「わからないよね…」
「何人居るんだ?」
「えっ?」
「その気持ちになるのは何人だ?」
「多分2人だと思う…」
「まったく同じ気持ちになるのか?」
「いや、ちょっと違うと思う」

それから亮磨は難しい顔で考えてから

「きっと、どっちかの事好きなんじゃねーの?」
「えっ!」
「俺もそんなに気持ちになった事ある」

私はそれを聞いてびっくりした。

「亮磨、好きな人いるの?」
「いるよ」
「へ~。以外だなぁ」
「そうか」
「でっ、どんな人?」

私の期待の眼差しに亮磨は笑顔で話し始めた。

「良い奴だけど、人の気持ちに気付かない奴」
「変な人だね?」

すると亮磨は真剣な顔で

「誰かわかってないんだな…」
「えっ?」
「教えてやろうか」

私は首を無意識に傾けた。


「お願いします」

亮磨は落ち着いた表情で話し始めた。

「そいつの名前は…」

話そうとした瞬間に

 キーンコーンカーンコーン

チャイムが亮磨の声をふさいだ。

「交代の時間だな」
「えっ!教えてくれないの?」

亮磨は顔を赤くしながら

「また今度な…」

私はこの時はしょうがないと思っていた。

でももしこの事を早く聞いていたら…。
あんな事にならずにすんだかもしれない。
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