和田菜月物語

雅木×一樹

その頃
玄関の前ではこんな事が起きていた。

「田山ごめんな、ここで…」

そう言って田山を外に連れ出したのは
飛鳥だった。

「全然いいよ」

飛鳥はそれを聞いて安心していた。

「雅木の事?」

「…うん」

田山は飛鳥の目を見ていった。

「きっとビックリするよ」

その目は真剣だった。

「それでも良い」

「嫌いにならない?」

「あれでも幼なじみだからな!」

飛鳥は満面な笑顔で言った。
それを聞いて田山も少し笑って

「じゃあ言うぞ」
と、言った。

飛鳥は冷や汗をかいていた。
何故か緊張したらしい。

「実は雅木は…」

その次のセリフは
誰が聞いても耳を疑ったはずだ。

今の雅木からは考えられないからな。

『いじめっ子だったんだ』

そう。
これが畑山達が雅木を探していた意味。

今の雅木じゃなくて
前の雅木の話だ。
< 120 / 261 >

この作品をシェア

pagetop