和田菜月物語

初恋

文化祭は無事に終わった。

次の日から未来と話す事は無かった。

それに気づいたか飛鳥は

「二人どうしたの?」

私は作り笑いをしながら。

「ちょっとね…」
「ふ~ん」

飛鳥は何かを理解したように返事した。

「まっ、何かは聞かないでおくわ」
「ありがとう…」

二人で話していると1人こっちに向かってきた。

「あんた、よく学校に来れるね~」

来たのは、愛香だった。

「菜月に話あるならうちが聞くけど?」

強気な飛鳥に愛香は笑いだした。

「ははははっ!う~け~る!」

その態度に飛鳥は

「てめー、つぶされたいか?」
「怖い子だね~」

私は何もできなかった。
自分が情けない。

次の一言まで

「心友の事情も知らないなんてダッサ」

私は頭の中で何かがキレた音がした。

「今の言葉取り消してよ…」
「はっ?」

私の中で
何かが壊れた。

「今の言葉取り消せって言ってるんだよ!」
「菜月!」

怒り狂った私を止めるのは飛鳥だけだと思った。

けれどその時…。

「菜月落ち着けって!」

そう言ってきたのは雅木だった。

その言葉にクラス中が驚いたみたいだ。

未来も驚いている。

「お前も謝れよ」

その目は野獣みたいだった。

私はこの目の意味をまだ知らなかったんだね。
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