和田菜月物語
そう言って手を上げたのは

「神埼君?」

そう。
前田だった。

「前田本気!?」

私がそう言うと
近くに居た鉾先俊に

「前田?」

と、聞かれて
私は慌てて前田に向かって

「神埼!そう神埼!」

と、不自然に言った。

その時
後ろでは高島が笑っていた。

前田はニコッと笑って

「うん。本気だよ」
と、言った。

すると希ちゃんは

「じゃあよろしく!」
と言った。

私は少し嫌だったが
みんなはすっごく喜んでいた。


そして本番。

私は目を疑った…。

早紀翔紀の次が前田だった。

早紀が

「お願い…」
と、ベベ2で帰ってきた。

そのバトンをもらった
前田は走りだした。

すると
前田はみるみるうちに
抜かして行った。

最終的には1位になった。

そのおかげで
1組は優勝した。

みんなが喜んでいる隅で
亮磨は小声でこう言った。

「バスケまだしてるのかな…」

その言葉には
色んな深い意味があったなんて
私は知らなかったんだ…。
< 94 / 261 >

この作品をシェア

pagetop