パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
最後の言葉が奈桜の心をチクッと刺した。
本当は結婚してもおかしくない年齢。
子供がいてもおかしくない。


でも。
アイドルという職業、売れているという現実。
夢を売っている身。


結婚は御法度。


一部の例外を除いて。


そしてそれは二度目はない。


「アハハ。感動かぁ。そうだね。みんなのおかげで幸せだよ」


奈桜は嬉しそうに笑った。
この幸せはみんなにもらったもの。
普通は手に出来ないものを掴んだ。
他のメンバーはまだ手に出来ない。


「ありがとう。オレさ、何が一番大事か忘れてたよ。今の幸せはどうやってこの手に掴んだのか。……思い出した」


ほんのちょっと強い風が桜の花びらを空へとさらって行く。
ハラハラと舞いながら、キラキラと光りながら。


「桜、綺麗だな」


泉の優しい声に奈桜も『うん』と心から頷いた。
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