パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
車の外の流れる景色をぼんやり眺めながら梓は深いため息をつく。
もう何度目のため息だろう。
幸運の女神さまがいたなら、きっと窒息してしまっただろう。
「梓さん、そろそろ奈桜さんと仲直りしたらどうですか?」
梓のマネージャーの青木はバックミラーを確認しながら言った。
が、もちろん返事はない。
答えようがないのだろう。
梓は青木の部屋に転がり込んで3日。
最近よく泊まりに来るが、今回は訳が違う。
そこが青木の気になる所。
心を落ち着かせる為にもあえて黙って来た。
「ほら、言うじゃないですか。時間が開くと帰りにくいって。私もそうだと思いますよ」
またチラッとバックミラーを見る。
どんよりとした顔。
まるで梓の所だけ雨が降っているようだ。