パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
梓はゆっくり深呼吸する。
そして窓の外の満開の桜を見た。
優しい色合いに心が少し落ち着く。


「私、女優の仕事が好きなのよ。たぶん、自分自身なの。私は女優なの」


はっきりと言う梓に青木は驚いて返す言葉がない。


「赤ちゃんができた事は嬉しい。ほんとに嬉しいの。でも、何か足りない。仕事をセーブして家庭に入って……って、それは私じゃない。仕事は私自身だから。これ以上、休むのも嫌。仕事したくてたまらない。目の前に大きな仕事が待ってるのよ。ハリウッドよ。断れば二度とオファーはない。そうでしょ?」


次第に熱を帯びる梓の声に溜まっていたストレスの強さも感じる。
青木は自分のせいだと頭上に岩を落とされたよだった。
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