ナンパ男がしつこい件について
掴まれた手は放されたと思ったら、
後頭部に手がまわる。
「な、なにやってんのお前…」
金髪頭の顔が見えない。
ていうかこいつの身長が高すぎて何も見えない。
けど、また甘い香りがして
手は冷たいけれど、ぬくぬくしてる。
つまりはまた抱き締められた。
「ってこらああああ!」
突き飛ばそうとするけれど、体がうまく動かない。
「俺この子が巧さんのとこ行くのやだって言ってるから連れていくのやだ」
「き、気持ち悪い…」
金髪はそうとう引いてる。
「放せ放せ」
「約束は守って」
そう言うとあたしから離れて
「失せろよ」
と言った。