書くの神


「クソが‼」

一言毒づいてからビールをアオリ、拳で缶を握り潰す。

あいつを思い浮かべ、背骨をへし折ってやった。このプルタブをねじり曲げるのら、あいつの首根っこをぐるぐると…。

あゝ、世界がぐるぐる回る。

酔ったみたい。

でも酔えば酔うほど、あいつの言葉がリフレインする。

なにを考えてるかわからない。

そりゃそーだろ。他人が何を考えてるなんて、わかるわけがない。

本当に好きなのか伝わってこない。

好きだったんだよ、クソ野郎‼

君は絶対に自分を見せない。

…これが私なんだ。

そのうち、秘密を打ち明けてもいいかと思っていた。

私、携帯小説、書いてるんだ。

誰にも明かしたことがない秘密を、あなたには…。

「そしたら、あいつも書いてたりして」

酔いに任せて、そんな馬鹿なことを呟く。

バカなこと…。

ん?

ベッドに大の字に寝ていた私は、むくりと起き上がった。

「これ…いけんじゃないの?」


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