[B L]だからスキって言ったのに
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───…
「…ん。」
だいぶ頭がスッキリしてきたな。
あれから3日間寝込んだ俺はもう風邪がなおっていた。
これは、杏里のおかげだ。
寝込んでいるあいだ、看病してくれたのは杏里。
ホント、感謝だわ。
俺は、しばらく動かしていなかった体を持ち上げ、学校に行く支度を始めた。
ガラッ
教室に入る。
「小林君!風邪、平気なのっ!?」
「もう、すごい心配したんだからねっ!?」
うるせーよ。
平気だから来てんだろうが。
てか、風邪ぐらいで大袈裟。
「あっ、夏音君…!良かった、治ったんだね。」
「あ、杏里。杏里のおかげだ、サンキュな。」
俺は、杏里の頭を撫でた。
すると、キッと女子の鋭い視線が杏里にささった。
「津白杏里さん?どういうこと?もしかしてアナタ、男子寮に行ったの?
禁止されてるはずよねぇ?
だから、男子寮に行って看病するなんて、してないわよねぇ?」
嫌みったらしく、女が杏里に言う。
なんだか、天野が責められてるようで、俺は腹が立った。
「────…あのさ、俺の目の前で杏里責めるとか、いい度胸してんね?」
「べつに、責めてたわけじゃ…」
「俺、やめろっていったよね?」
杏里を助けるのは、2度めか。
「杏里は、俺の大切な人だから。」
俺がそういうと、女子がキャーっ!!とわめいた。
うるっせーな。
「…あ、あの…っ。」
杏里が、顔を赤らめて俺の前に立った。
・
「わたしも、ずっと、夏音君が…す、好きでしたっ!!」
・
わたしも?
あ、ちょっと待て。
大切な人って、そういう意味じゃなくて。
「───────────…ッ」
弁解しようとしても、遅かった。
だって杏里は背伸びして、自分の唇を俺の唇に押し当てたんだから。
再び、キャー!と言う声。
おい。
おいおい。
何で俺、好きでもないヤツとキスしてんの?
ドクンッ
瞬間、間近にあった杏里の顔が、天野とかぶった。
そして、杏里とのキスは濃厚なものじゃないのに、記憶のなかで俺の口をまさぐる舌が脳を刺激する。
キス相手が、天野とダブる。
なぜだ?
ダブるなら、2年前の天野のはずだろ?
なぜ成長した天野がダブってんだ?