もう一度抱いて
ドクンと心臓が鳴って、身体がビクンと揺れた。


そ、それって…。


「キョウセイが朝田さんと付き合うてるって聞いて、俺ビックリしてん。

朝田さんと里桜ちゃんって全然タイプがちゃうから。

俺てっきりキョウセイは、里桜ちゃんみたいな子がタイプなんやと思とった」


そん…な。


「せやから、あと一週間早かったら、付き合えてたんちゃうかな」


やだ…。


そんなこと、聞きたくなかった。


だって。


余計につらくなってしまうもの。


あ、でも…。


だからなのかな?


あの日、公園でキスしてきたのって。


そういう…ことだったのかな…。


たったの一週間…。


それより前に出会えてたら。


私とキョウセイ、付き合えていたかもしれないの…?


キョウセイの隣に、いられたかもしれないの…?


あのとろけるような甘いキスを、沢山してもらえたかもしれないの…?


でも。


すれ違ってしまったんだ…。


私とキョウセイは、付き合えない運命だったんだ…。


そうだよ…。


きっと、そうなんだ…。


ホテルでの一件も、キョウセイは全然覚えていないんだし。


あげたヘアゴムも簡単に捨ててしまうんだし。


その程度の存在なんだよ。


キョウセイにとって、私なんか…。
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