もう一度抱いて
綺麗な瞳で見つめられて、頬がなぜか熱くなった。


「アンタみたいないい子なら、こんな形じゃなく、別の形で会いたかったよ…」


ふっと微笑みながら、彼は優しい声で言った。


「そうね…。
私もそう思う。
大学で普通に会えてたら、友達になれたかもしれないのにね」


こんな出会い方じゃなければ…。


もしかして恋に落ちてた…?


なんて、ね。


「本当にごめんな…」


「ううん…。
お互い様だから…」


彼は悲しそうに目を伏せると、タバコの火を灰皿で消した。


「そろそろ、帰ろうか…」


「うん…」


なぜか名残り惜しかったけれど、私達はカフェを後にし、駅で別れた。


トボトボと歩いていく彼の後ろ姿を、振り返ってこっそり見てみる。


ひょろっと細い人だな…。


でも、なぜかセクシーで魅力的だ。


もう、会うこともないよね。


もし偶然会えたとしても、話すことはないんだろう。



さようなら…。
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