もう一度抱いて
信号が青になり、その女の子達が一斉に歩き始める。


俺はその小さい女の子を、じっと目を凝らして見ていた。


「おーい、花岡さーん」


「相原君、お待たせー」


横断歩道を渡った途端、拓真とゼミの友達が話を始めた。


小山も貴志も混ざって話し始める。


その小さい子は…というと、6人の会話には入らず、ボーッと道路の方を眺めていた。


思わずクスッと笑った。


やる気ないんだな。


俺と一緒だ。


よくよく見てみると、その子は大きな目をしていて、すごく瞳の綺麗な子だった。


口を閉じていても口角がキュッと上がっていて、普段はよく笑う子なのかな…なんて思ったりした。
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