もう一度抱いて
食事も終わり、私達はファミレスを後にした。


二人とは、お店の前で別れた。


夜の街に消えて行く二人の後ろ姿を、私は遠くからじっと見つめた。


長く美しい彼の腕に、自分の腕を絡ませて歩く京香。


なんだが、すごく幸せそう。


金曜日の夜だものね。


これから京香の部屋に泊まりに行くのかしら。


そして今夜は…。


抱き合ったり…するのかな。


彼に彼女がいたって、別にそんなことかまわなかった。


あれだけ色気があるんだもの。


いたっておかしくない話だ。


だけど…。


どうしてよりによって、その相手が京香だったんだろう…。


私の知らない他の誰かなら良かったのに。


やっぱりもう、彼には二度と会わない。



そう、心から思った。

< 30 / 479 >

この作品をシェア

pagetop