もう一度抱いて
とりあえず服を回収しなければと思うのに、薄暗くてどこにあるのかわからない。


もしかしてこの下かな?と思い、枕を上に持ち上げてみた。


「あっ、こらっ」


ベッドに座ってTシャツを腕に通していたキョウセイが、急に声を上げる。


「え、なに…?」


何がなんだかわからず、枕を持ち上げたままキョウセイの視線の先を見ると。


シーツの上に転がる丸い物体。


「あ…」


思わずつまみ上げると。


「あーもう。
見つかっちまった…」


そう言って自分の髪をかき上げるキョウセイ。


「え?どうして見つかっちゃいけないの?」


別にここにあったからって、何とも思わないのに…。


「だって、照れるじゃん…」


え?


どうして照れる必要が?

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