もう一度抱いて
その後私達は、一緒にパスタを作っておいしくいただいた。


キョウセイは今夜泊まって欲しいと何度も言っていたけれど。


でも明日は朝から授業だし、着替えもないので、仕方なく断った。


今、私とキョウセイは駅までの道を、手を繋いで歩いている。


「週末は一緒に過ごそう。

その前に、ちゃんと京香とケリをつけるから…」


「うん…」


きっとこの週末は、楽しい時間を過ごせるよね。


だから、焦らなくてもいいよね。


これから先、いくらでも一緒にいられるんだから。


気がつけばあっと言う間に駅に着いてしまい、私とキョウセイは手を繋いだまま向い合わせに立った。


「気をつけて帰れよ」


「…うん」


「じゃあ…な」


「じゃあ、ね」


なかなか離せない手をぎこちなく離すと、急に胸の奥にキュッと痛みが走った。


仕方なく改札口へと歩き始めると。


「永瀬っ」


キョウセイに呼び止められた。


「明日、食堂で会おう。メールもする」


キョウセイの言葉に笑顔でうんと頷いて、私は改札口を通った。


何度も何度も振り返り、手を振る。


キョウセイは私の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくれていた。

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