もう一度抱いて
くるりと振り返ると、相原君がトレーを持って立っていた。


「相原君」


「あー、ふたりで一緒におるっちゅうことは、もしかして…」


からかうような顔でニヒッと笑う相原君に、急にボッと頬に熱が帯びた。


「あぁ。ちゃんと引き止めた。永瀬はバンド辞めないから」


キョウセイがにっこり笑う。


「ほんまか!良かったー。
里桜ちゃん、頼むでー。
もう辞めるとか絶対言わんとってなー」


「…うん。ごめんね」


「もうええねん。
戻って来てくれたんやから。
はー、これでもう安心やわ。

せやけど、里桜ちゃんが戻ったっちゅうことは、二人は付き合うことにしたんやろ?

朝田さんは平気なん?」


トレーを机に置き、キョウセイの隣に座る相原君。


「あぁ。今日話つけるから」


「えっ?いきなり今日?
ほんまか!
なんや俺まで緊張するやんか。
あの人、まさか逆上とかせんやろなあ」


眉をひそめる相原君。


「うーん。まぁ、アイツがどう出るかはわからないけど。

もう言うしかないから…」


「せやな。
うまくいったらええなあ」


相原君の言葉に、キョウセイは2、3度頷いた。
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