もう一度抱いて
「へぇ…かなりいいね。

サビのコード進行泣けるじゃん。

大学祭のラストの曲にぴったりなんじゃない?」


小山が嬉しそうに笑う。


「ほんまやな。

俺もちょっと感動した。

それにしよか」


拓真も納得の表情だ。


そうでないと困る。


永瀬を想って作った、俺の渾身の一曲なんだから。


その時だった。


小山の携帯が鳴った。


「あー、ちょっとごめんな」


右手を上げて、携帯の通話ボタンを押す小山。


それを気遣って、俺と拓真は小声で話し始めた。


「なぁ、今の曲って…。

もしかして、里桜ちゃんがお前に宛てた愛のメッセージの曲ちゃう?」


うっ、鋭い…。


「その顔じゃ、当たりやな。

わざわざ大学祭で、お前らの熱々ぶりなんか披露せんでもええやろー」


「べ、別にそういうつもりじゃ…」


そうやって小声ながらも、拓真と騒いでいた時だった。


「キョウセイ…」


小山が俺の名を呼んだ。


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