もう一度抱いて
目の前が涙で滲んで、視界がゆらゆらと揺れる。


立っていられなくて、カバンと共にその場にしゃがみ込んだ。


「キョウセイ、キョーセー…」


私は子供のようにワンワンと泣きじゃくった。


行かないでって、


泣きわめきたかった。


今日は一緒に過ごすんでしょう?って、


そう言いたかった。


こんなところに一人にしないで。


私を一人で帰さないで。


京香の馬鹿。


今日ほど京香を憎いと思ったことはない。


京香はずるい。


そうやって、キョウセイを繋ぎ止めてしまうのだから。


心さえあればいい?


そんなはずないよ。


そんなの…。


もう耐えられるわけないじゃない。


だってもうこんなにも、


キョウセイを好きになってしまったんだもの。

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