もう一度抱いて
そんな永瀬に


俺がどんな言葉をかけられるって言うのか


好きだとも


信じて待っていて欲しいとも


そんな残酷なこと


言えるわけがない


拓真が永瀬を好きなら


アイツに任せた方が


よっぽど永瀬のためだ


少なくともアイツなら


永瀬をこんな姿にしたりしない




俺の腕は


ギターを持つしか能がないのだろうか


好きな子を


抱きしめてあげることもできないなんて


こんな腕


あってももう


しょうがないじゃないか…



俺はドアノブにかけていた手を離し



課外活動ホールを後にした


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