もう一度抱いて
「京香…」


「なに?」


「ありがとう…」


「え?」


「永瀬の元へ、戻らせてくれて…」


俺の言葉に、にっこり笑う京香。


「こっちこそ、ありがとう。

苦しい思いをしてまで、私を支えようとしてくれて…。

トモオ君のその優しさは、同じように優しい里桜に向けられるべきだわ。

本当に、ごめんね…」


俺は首を横に振った。


「ありがとうって言葉、いいわね。

ありがとうって、言うのも言われるのも、すごく気持ちがいいわ。

私、これからはありがとうって言ってもらえる人間になるわ。

きっと、なってみせるからね」


「あぁ…。

京香ならなれるよ、きっと…」


「そう?ありがとう」


京香の言葉に、二人でクスッと笑った。
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