もう一度抱いて
「え…?」


小山君の言葉に、目をぱちくりさせる私とキョウセイ。


「実は、さ…。

辞退してないんだ…」


どういう…こと?


「2TRが出演する枠を、


押さえてあるんだ…」


え…。


うそ。


小山君、どうして…?


「絶対出演できるって、信じたかったんだ。

大学祭に出られるのは、今年が最後だし。

どうしても出たくて。

だから…」


「小山…」


キョウセイがびっくりしたような顔をしている。


「でも、俺…。
1ヶ月以上ギター弾いてないんだ…」


「私も…。声が出ないかもしれない…」


練習する時間もないだろうし、いきなりぶっつけ本番だなんて、すごく不安だ…。


「もし、不恰好な演奏になったとしても…。

それでもいい。


このメンバーで、


一緒に大学祭に出たいんだ…」


小山君の必死な叫びに、キョウセイと私は顔を見合わせた。
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