もう一度抱いて
真っ暗なステージ中央の、スタンドマイクの前に立つ。


小山君はドラムセットに。


相原君は私の右隣に、そしてキョウセイは私の左隣にスタンバイした。


小山君が両腕を上げ、ドラムスティックをクロスさせて叩く。


その合図で舞台が一気に明るくなり、演奏が開始された。


照明によって見えた客席の人の多さに私は怯み、しばし固まってしまった。


そんな私を心配してか、キョウセイが私の顔をじっと見つめていた。


キョウセイがコクンと頷く。


その合図で私はマイクを握り、歌い始めた。


一曲目はアップテンポな曲。


初めて私が歌詞を書いた曲だ。


キョウセイにボツにされたっけ。


そんなことを思い出す。


それにしても不思議だ。


私達の音楽を、お客さんがこんなにノリノリで楽しそうに聴いてくれてるなんて…。


歌詞を書いた時はつらかったけど、こうして大勢の人に聴いてもらえると、なんだか胸の奥が熱くなって来る。


書いて良かったって、心からそう思える。


キョウセイが傷が癒えるよって言ってくれたけど、本当かもしれない。

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