予言と過去



その日うちの家族は、空界に遊びに来ていて。



悪魔の襲撃に、巻き込まれた。



今でも思うんだ。



うちが空界に行きたいなんて言い出さなければ、お父さんも お母さんも死ななかったのかなって。



襲撃は、夜だった。



大きな音が聞こえて、うちは目を覚ました。



焦げ臭い匂いが鼻を突く。ぱちぱちと何かが爆ぜる音が聞こえて、火事だと解った。



「……レイム!」



直ぐ隣のベッドで寝ていた お兄ちゃんが、うちの手を握る。



眠かった意識が覚醒して、視界が はっきりと した時、うちは悲鳴を上げた。



うちの左隣と、その隣のベッドで寝ていた お父さんと お母さんは、倒れた本棚の下敷きに なっていて、其処には既に火が回って来ていた。



「いやっ、お父さんっ、お母さ……っ。」



2人に近付こうとした うちの手を、お兄ちゃんが引っ張る。



本棚の下から、お母さんは うちに微笑んだ。

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