禁域―秘密の愛―【完】
「………ダメだな」
キスをした後、巧はそう呟いた。
「………んっ?どうしたの………?」
「………これ以上続けると、理性がもたない」
理性………?
「………何言ってるの?」
「ーーーえ?」
完全にその意味が分かっていない私を見、今度は巧が驚く番だった。
「何って………それは」
「どうしたの?」
巧が口ごもるなんて珍しいな。
しかも、どこか照れ臭そうにしている。
何なんだろう………?
私は思わずクビを傾げた。そんな私を見た巧が、フと笑った気がした。
「いや………。瞳はそのままで良い。それに俺も、今はこれで充分だ」
巧はそう言うと、もう一度私の頬にキスをした。
「ずっと………瞳を離さない。約束する」
「うん。離さないでね………」
巧………。
ずっと、ずっと一緒にいようね。
あなたの過去がどんなに暗くても。
その先に待つ未来がどんなに険しくて、翻弄されようとも。
ーーーあなたと私の想いだけは………変わらない。