禁域―秘密の愛―【完】
11: 2つの愛の狭間で


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「……ん……」

次の日、目を覚ますと昨日とは打って変わって、晴れ晴れとした空がボヤけた視界に写った。


昨日の嵐のような雷雨の夜ーーーー


『…………愛してる、瞳…………』


巧と、長年の想いが通じ合って………そして私は彼に抱かれたーーーー。


「…………っ」

やだ…………何を思い出してるんだろう…………私ってば。恥ずかしい…………。

恥ずかしいけど…………だけど、やっと、やっと通じ合った想い。


優斗のこともある。朝香さんのことだって…………桐谷家のことだって。

これから、どんな事が待ちうけているか分からない。傷付けるものもたくさんある。わかってる…………。



けれど、それでも私はーーーー…………



そう思っていたら隣で寝ていた巧が目を覚ました。

「…………おはよう、瞳」

巧は私を見るなり頭を撫でて嬉しそうに微笑んだ。

「…………っ、おはようっ………!巧っ」

巧のそんな姿に私の胸はこれでもかというほどの幸せと愛しさで満ち溢れる。


こんなにも姿を見るだけで愛しいと思うこの人を…………ずっとずっと恋い焦がれてきたこの人を。

もう、離したくない…………。






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