禁域―秘密の愛―【完】
『ーーーー瞳しかいないんだ』
………真っ直ぐに、何も迷いの無い声でそう言われたら
「………わ、たし…………」
巧の手を握る私の掌が、震えた。
………思い知らされた
私はーーーー、とんでもないことを………していると。
でもそれは………私が思ったより、深く、残酷な事。
優斗と別れ巧を選ぶと私はーーーー、
…………優斗に芽生えた誰かを愛するという大切な心を、ボロボロに壊してしまうーーーー。
「瞳………?」
すっかり、青ざめた私の顔を見て、巧は私の手をますます強く握った。
この手を、離せない。それはよく分かってる。私は巧のことを愛してる。
けれど、自分の罪の重大さを
優斗の………愛の大きさを知ってしまった。
二つの愛の大きさを知った時。その狭間にいる時。
私の心はこんなにも、苦しくなり………鎖でがんじがらめにされてしまう。
何があっても、巧の傍にいたい
けれど、その見返りに優斗の心を壊すなんて
私には、とても抱えきれない重罪だーーーー。
抱えきれない…………。
私は………まだこんなにも弱い…………。