禁域―秘密の愛―【完】
「思いっきりね。こう、ポーーーッとして上の空でさ?」
そう言って愛ちゃんは呆れたように笑う。
あぁ、恥ずかしい………。
あれから桐谷君とは、変わらずおばあさん家に2人で行くし、学校でも2人きりで話すようになった。
けれどまだ、一部の女子生徒からの視線は痛い。
それが時々、私の胸を刺し、傷つけることもある。
だけど、私の傍で笑ってくれる桐谷君を見たら………、それだけで、何もかもどうでも良くなった。
お互いに傍にいてほしいという気持ちが何よりも私達の間では大切なことだから。
「まあ、でも………驚きだよね」
チョコドーナツを食べ終えた愛ちゃんは、私の目を真剣な眼差しで見つめそう言った。
「えっ、何が?」
「桐谷君に、傍にいて欲しいって言われたんでしょ?」
「うん」
「桐谷君に、守ってやるって言われたんでしょ?」
「う、うん」
「………桐谷君に、2回も抱きしめられたんでしょ?」
「う、………うん」
「ーーーなんで、桐谷君と付き合ってないのッ!?」