禁域―秘密の愛―【完】
「え、えぇッ!?」
その爆弾発言に私は驚き、危うく掴んでいたミルクドーナツを床に落としそうになった。
つ、つ、付き合うって………。
「桐谷君が、わっ、私と………?」
「他に誰がいるのよ?」
愛ちゃんは、はぁっとため息をついた。
「あのね。アンタ達、誰がどう見ても両想いだから。わかる?両 想 い!」
「え!?そ、そうなのっ……….?」
確かに抱きしめられたり、傍にいてもいいとは言われたけれど………それは
「友達としてなんじゃ………?」
「欧米かッ!」
「へっ!?」
「瞳!ここジャパンよ?日本よ?東アジアよ?わかってんの?友達同士でハグする文化圏じゃないのよ!全くどこまで鈍感なんのよ………。哀れな桐谷君」
「ええっ………」
懐かしい一昔前のギャグを言われ、桐谷君が哀れとまで言われ………、私の頭の中は完全に困惑していた。
「桐谷君のこと好きなんでしょ?」
「う、うん」
「付き合いたいって思わないの?」
付き合いたい…………。
それは、つまり桐谷君と恋人同士になることだよね?
確かに………、桐谷君にとって特別な存在になりたいとは、思ってるけれど。
「………まだ、今のままで充分だよ?」