禁域―秘密の愛―【完】
私達は、愛ちゃんのアパートを出た後、地下鉄で移動した。
着いたのは、とあるコンシェルジュ付きの高層マンションだった。 ざっと見上げたけれど30階以上はありそうだ。
「巧、ここは………?」
「俺の仕事部屋だ。 どうしても、一人で集中したい時はここに来る。桐谷商事の人間でも一握りしか知らない場所だからな………今から宿を探すよりマシだろう」
「そ、うなんだ………」
こんな超高級マンションが仕事部屋だとは………恐れ入りました。
私は、巧に連れられ中に入った。 コンシェルジュのおじいさんが、目を丸くして私達を見つめる。 巧が私を連れて来た事に相当驚いているようだった。
「おかえりなさいませ、桐谷様。………本日はお客様ですか?」
「はい。………申し訳ないですが、一つ頼みを聞いてくれますか?」
「何なりとお申し付け下さいませ」
「例え誰が来ようとも………決して、俺がいると言わないで下さい。 俺達が翌日ここを出て来るまでは………決して、誰も」