禁域―秘密の愛―【完】
そのまま巧は、言葉を続けた。
「父さん……….、俺達を少しでも理解してくれたのなら………チャンスをくれ。 俺がブラジルに行きアテラ社との交渉を成功させたら瞳との事を認めるように」
巧がそう言うものの桐谷 光は俯いたまま暫く何も言葉を発する事は無かった。 しかし、ふいに私の方を向いた。
「………綾瀬 瞳」
「えっ?」
「………私はまだ、君を巧の生涯の伴侶として認めはしない」
「えっ…………」
私は、再び言葉を失った。 ここまで………ここまで、懇願してもこの人にだけは私達の想いは何一つ届かないの?
絶望が心に広がり溢れる涙を抑えようとしたーーーー………瞬間。
「…………だが、君が私が今から言う課題をクリアすれば、巧との仲を考えてもいいと、思う」
「…………えっ!?」
突如、 桐谷 光から湧いてでた言葉に私は驚きを隠せなかった。
「課題だと………?」
「そうだ。 巧………、お前がアテラ社との交渉を成功させ、綾瀬 瞳が私の出す課題をクリアすればお前達の仲を考えなおす」
「なぜ瞳に………、俺さえアテラ社との交渉を成功させれば」
「とことんこの女には甘いな。 巧、なぜお前だけがリスクを背負う必要がある? これは、お前と綾瀬 瞳の二人の問題だろう。 そしてお前達の仲を反対し続ける私のクビを縦に振らせるには綾瀬 瞳にもそれ相応のリスクを与え、その本気を見せて貰わなければ何も信用ならないと考えるのは当然だが?」