ディスオーダー【短編集】

 ふと、隣に置かれている黒い手帳に目がいく。

 周りに誰もいないし、長年、人の出入りはないようだし、状況把握のためにもちょっとくらいなら……見てもいいよね?

 後ろめたさを感じつつ、私は黒い手帳を開いて中を見た。

 その黒い手帳の中身にはぎっしりと英文が書かれており、私は自分が英語が得意なことを心の底から喜ぶ。

 英語が分かる範囲でしかないが、私はゆっくりと中身を読み始めた。


 7月19日。ここはエリーお嬢様を隔離するためにはもってこいの場所だ。早急に表は旅館として活動する建物を造り、エリーお嬢様の身柄を安全にするべく、隠し部屋を造ろうと思う。人がたくさん泊まれば、目をあざむくことが出来るだろう。

 8月3日。旅館は繁盛し、エリーお嬢様のお身体も良好。すべてがすべて順調だ。このまま何もない平和な日が続けばよいのだが。
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