ディスオーダー【短編集】
ただの好奇心か、それともつまらない同情心か、私にはどうでもいいいことだ。
仮にそれがなんにせよ、私が彼に話し掛けた事実はなくならない。
「どうしてあなたは喋らないんですか?」
相も変わらず彼は黙ったままで、私を睨むように見つめている。
「教えたくないことなら別に構いません。無理に聞き出そうとは思いません」
どうせいつものように無視をされておしまいなのだろう。
彼は黙って、睨むように私を見つめているだけなのだろう。
しかし。
彼は私の目をジッと見つめたかと思うと、のそりと動き出し、服の中から紙とペンを取り出した。