ディスオーダー【短編集】

「はい」


 私は答えた。私は正直にそう答えた。

 なぜだろう、彼の前では嘘がつけない自分がいた。嘘をついてはいけない気がしたのかもしれない。

 とにかく、私は正直にそう答えたんだ。

 すると、彼は再びペンを手にとり、何かを書き始めた。つらつらと、滑るように。

 ぴらっと見せてきたそこには──。


 “今すぐに、死にたいか?”


 そう、綴られていた。

 だから私は、「はい」とだけ答えた。

 彼はまた何かを書き出した。

 彼はまたそれを見せてきた。

 そこにはこう書かれていた。
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